心波

心の波をお前は測れるとでも云うのですか
ワタシは衝撃の度に砕け飛び散った
ベールをください
幕で被うのです。
ワタシを殺さないでください。
ワタシを見捨てないでください。
どうせ殺すならオマエを殺す。
誰よりも愛し気高き優しいオマエをぶち殺す。
波が止まない
やってきては引き摺り込み去っていく。
色々なモノを残して。
ワタシを残して。
オマエは何処へ行った。
残ったモノはなに?
この残骸は想い出。
ワタシを汚さないで。
塗り替えないで。
やめて。
どうか! このままの姿で
嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ
波が総てを攫っていく
ワタシ自身を潰していく
モウどうにでもしてくれ
波よ
キミは何よりも気高く優しく攫っておくれ
愛し合えるようにどうか
きっといつの日か
オマエを赦せるように
心の波よ
赦してくれ
破壊されるワタシを
逢えるのだろうなオマエに
ダカラ•ワタシハ•キョウ

(波に攫われる)

コレからのワタシはコレまでのワタシではない
コレまでのワタシはコレからのワタシではない
赦してくれないワタシよありがとう
赦されたワタシよさようなら
精一杯叫ぶ
いつまでも止まない波よ
またやってきて去っていくキミのそのココロの奥底のヤサシサよ
キミの頬にキスをしてワタシは沈む
魚よ、亀よ
ワタシをつまみ食い進化せよ
大いなる地球(ほし)よ
ワタシは偉大でしたか?
ワタシたちは遺すことが出来ましたか?
とどまらぬ言葉の前に誰も返事しない
波の音だけが止まらぬ
さようならはいらない
ワタシは此処に居る
ワタシは此処に居るのだ。
居るのだ!
それだけを言残し。
去っていく。
また逢おう。
砂浜の海岸を。
それが最後の約束
足跡を攫う
心の波よ
キミを求めて
波音が気持ちいい
静に寝よう。
その時まで。